「戦車を駆る女王　テオドラ」
1954年12月13日公開

テオドラを演じたのはGianna Maria Canale　

『手帖』のキャプション
黒人輓奴　(Ｆ・クルト筆)ドイツ奴隷小説の挿画。『女天下』第二巻には「米国南部」と特に注記がある。私の最も愛好する絵の一つである(附記第一参照)

Zugsklaven. Zeichnung von F.Kurth (第�U巻p572)

【馬・註】
本章は次のように始まります。

白人の有色人種に対する対等人格否定の思想を象徴的に具体化するものの一つとして奴隷制下の米国南部における「輓奴」(Zugsklave, draft-slave)が挙げられよう。
馬の代わりに馬車につながれる奴隷のことである。

ひと(homo sapiens)ではあるが人間(man)ではない。馬と並ぶ輓曳の動力としてのみ有用な新種の家畜、輓奴――乗用馬願望と並んで、あるいはそれ以上に、人間馬志望のマゾヒストを魅する地位である。

Ｌ・ゴーテの『鞭令嬢』(Fraulein Peitsche)は輓奴を扱って出色の小説である。
そのあらすじを紹介しよう。

以下、『鞭令嬢』のあらすじがつづきます。

沼によると、『鞭令嬢』はマゾヒストを対象に書かれているとのことで、確かに、沼の書いた梗概はＭ的感興に満ちています。

　ただ、『鞭令嬢』という小説の存在や、Ｌ．ゴーテがマゾヒズム文学の著者であることについては、第七章　人間馬による競馬(『鞭打つ女たち』)　で述べましたように、いささか疑念がございます。

Die Fabrikbesitzerin
Zeichnungen von Jaques Billon. Aus der "Assiette au beurre", 1912 (第�T巻p 215)