Ｓ女子大秘話
作・たぬべえ
８

明石玲子のお話ふたたび
玲子は見合いをした。
チンコ集めは50本にもなっていない。
就職は決まったが、そんなに大きな会社でもない。
いままで人生を勝ち進んできたのに、ここで負けに転じるのは嫌だった。

親戚の地方にいる県会議員からの話だった。
相手は別の県会議員の息子で、年齢は28歳、地元の企業に勤めているらしい。
父親がもうすぐ引退するので、来期、県会議員に立候補する。
その時に、妻がいたほうが有権者に好印象だからと結婚をあせっているらしい。

「引く手あまたなんじゃないの」
玲子は親戚のおばさんに聞いた。
「いろいろあったのよ」
「あー、わけあり？」
「わけあり」
「わけありを私に押し付けるんだ」
「県会議員で文句あるわけ？」
「文句はない」
とりあえず会うだけ、会ってみよう。
むこうが金を出してくれるので。

相手の鹿内幸太郎の地元へ行った。
地元で一番の高級ホテルで見合いを行った。
そこそこイケメン。
地元の大学を出て、親のコネで就職、30歳で辞めて県会議員という線路が敷かれている。

二人でホテルの庭を散歩することに。
「おばさん言わなかったけど、どんなわけがあるわけ？」
玲子はいきなり聞いてみた。
「わけなんかないよ」
「でも地元の女の子とは見合い出来ない。
かなり遊んでいたわけ？」
「まぁね」

「結婚しても浮気するんだ」
「県会議員だぜ。
そのくらい当たり前だろう」
こら、駄目だ。ここまで屑だと、逆に笑える。

「いまどき、そういうのってスキャンダルになるよ」
「ここは○○県だぜ。
まだ昭和の常識が通るのさ。
君には十分なこずかいやるよ。
選挙の時だけ円満夫婦な顔してくれりゃいい。
あとは、浮気以外、何してもいいよ」

「私の浮気は駄目なんだ」
「当たり前だろう。
他の男の子供は後継者に出来ないからな。
血が大事なんだよ」
「セックスしなきゃ、男の子と遊ぶのはあり？」
「地元でなければな。
悪い条件じゃないだろう」
「今日はいい勉強になりました」

「どういうことだよ。俺と結婚しないつもりか？」
「するわけないじゃん。
クズ」
「なんだよ」
「今の会話録音したよ」
「なんだよ」
「従兄弟、地元の新聞記者なんだ。
この録音渡したら、あんた、立候補も出来なくなるんじゃない？」

「おいおい、同じ穴の狢だと思うから話したんだぜ」
「おあいにく様、私は狢じゃない」
「どうすれば録音渡す？　金か？」
「お金なんかもらったら、脅迫罪で訴えられちゃう」
「どうすれば録音渡すんだ！」
「土下座とまたくぐり」
どうするだろう。

「そんなんでいいのか」
「えっ？」
幸太郎は土下座した。
「また開け。くぐるから」
「は、はい」
またを少し開いたら、幸太郎は四つ這いになって玲子のまたの下をくぐった。

「わけありって、もしかしてマゾ？」
「そんなところだ。
玲子さんはＳだろう」
「Ｓじゃないけれど」
「俺たち案外、合うと思わないか」
「えーっ！」

「ほら、走れ、走れ」
「ひひーん」
幸太郎は四つ這いになって、玲子を背中に乗せて、部屋を走り回った。

「かなり古典よね」
玲子はプレイの後、言った。
「うん。やっぱ田舎だからね」
幸太郎が言った。

「痛いのは嫌なんだ」
「うん、あんまり好きじゃない」
「大勢の女の子の前でさらし者になるのは？」
「好きだけれど、やっぱ立場上無理だろう」
「だよね」

「東京じゃ、どういうのが流行ってる？」
「もっと個人の趣味の追求っていうか。
私もＳってわけじゃないから、よくわからない。
私はどっちかというと、男の子が私の前でプライドを捨てる瞬間が好きなんで、土下座とかさせるけれど、他の女の子たちは形にこだわらない子が多いよ」

「俺はほら、立場が立場だから。
権力のある俺が、女の尻に敷かれるギャップに興奮するんだ」
「幸太郎君はもっといろんなことにチャレンジしたほうがいいと思う」
「いろんなこと？」
「あんまり経験ないでしょう」
「こういう性癖はバレると大変だからね。
きまった相手としかプレイできない」

「理由つけて東京においでよ。
いろんな女の子、紹介してあげる。
それでフィットする女の子と結婚すればいいよ」

「玲子さんは駄目？」
「ごめん。私はＳってわけじゃないんだ。
だから、あなたの希望には添えないし、やっぱ浮気は許せんのですよ。
夫が別の女の尻に敷かれているのはね」
９⇒



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