Ｓ女子大秘話

作・たぬべえ

６

高田弘二と富山益江、谷原勉と日立浪江のお話

合コンから足早に消えた四人はとりあえず、開いているチェーン店居酒屋に入った。 四人ともなんかあのまま帰るに帰れない気分だった。 「とりあえず自己紹介するわ」 益江が言った。 合コンで当たり障りのない自己紹介はしたもののよくは知らなかった。 「富山益江、Ｓ女子大英文科４年、一応親は会社社長で、親の会社の関連会社に就職する。で、多分、親の決めた人と結婚する」 「いまどき？」 日立浪江が驚いて言った。 「うん。一人っ子だから。しょうがないんだ」 「しょうがないと思い込んでるだけだよ」 浪江は言ったが、益江は微笑んだだけだった。 「じゃ、俺……じゃない、僕。 高田弘二、Ｃ商科大四年。 一応、公認会計士めざして勉強中」 「えっ、スゴーイ」 「勉強中。受かるかどうか、わかんないし。 受かっても……」 「受かっても？」 「これから、ＡＩ化が進むと10年後はなくなる職業だって言われている」 「なんでなくなる職業めざしているわけ？」 「うーん、とにかく、難しい試験に挑戦したくて。 なんていうのは建前。 俺、Ｃ商科大だから。 親戚の集まりとかで、馬鹿にされて。 親とか、肩身狭くてさ。 会計士になったら、少しは親戚も見直すだろうって、それだけだよ」 「やっぱ高田君って、男らしい。 それに親孝行」 益江が言った。 「親孝行はマザコンかもよ。 次は私ね。 日立浪江、ファッション会社に内定。 デザイナーになるつもり」 「最後は俺か。 谷原勉、チンコに射精まで見られて、いまさら自己紹介でもないけれど。 俺も親父が社長で、あっ、でも兄貴がいるから会社は兄貴が継ぐんで。 でも、俺も親父の会社に入る予定」 「あっ、ちらっと見えただけで、マジマジとは見てないからね」 浪江が言った。 「そうよ。桜子さんとは違うから」 「スゲエ女だったよな」 「普通に古谷のチンコしごいてたもんな」 「でも、ちょっと格好よかったかも」 益江が言った。 「うん、ちょっと憧れるよね」 浪江も言った。 女たちの言葉に、ちょっとだけ二人の男は顔を引きつらせた。 「俺は高田君と違って、全裸で皆の前で土下座だろう。 あれはきつかった」 「Ｓ女子大の君たちと合コンできるんだから、土下座くらいは覚悟していたけれどな。 やっぱ全裸土下座はきついな」 高田も言った。 「パン一なら、また土下座してくれる？」 益江が言った。 「益江さんになら、もちろん」 「つまり、土下座して頼めば、付き合ってくれるってこと？」 谷原が言った。 「土下座だけじゃ駄目よ」 「あと、何すればいい？」 「奴隷になれとは言わないけれど、普通に家来くらい、かな。まず家来から」 「まず友達からじゃなくて、家来から？」 「友達からでもいいよ。 でも家来のほうが楽しくない？」 「そうね。 家来なら、一生懸命仕えてくれたら、ご褒美もあるかもよ」 益江が言った。 「わかった。 いや、わかりました。 僕は益江さんの家来になりたい」 高田が言った。 「谷原君は？」 「僕も。浪江さんの家来にしてください」 「浪江さん？」 「浪江様の家来にしてください」 四人はカラオケルームに場所を移した。 高田はパンツ一丁になって益江の前に土下座した。 「谷原君は脱がなくていい。 さっきチンコ見たし」 谷原は服のまま土下座した。 「谷原君……、これからは勉って呼ぶからね」 浪江はピンヒールで勉の頭を踏んだ。 「私も弘二って呼んでいいよね」 「はい。益江様」 弘二が床に頭をつけると、益江は弘二の肩に足を乗せた。 「えっ、いいの？」 弘二が言った。 益江がミニスカートで弘二の肩に足を乗せたので、土下座の弘二にパンツが丸見えになった。 「これが私のご褒美なのだ。 ねえ、弘二君、私は弘二君って呼ぶから、益江様でなく、益江さんって呼んでいいよ。恋人みたいな主従よ、私たちは」

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