Ｓ女子大秘話

作・たぬべえ

４

「全員の奴隷ってことは、こいつらは俺らの奴隷でもあるんだな」 牛尾が言った。 「そうよ」 桜子が言った。 「なら」 牛尾が谷原の前に足を出した。 「谷原、俺の足を舐めろ」 全員が唖然とした。 「俺はこいつが嫌いなんだ。 奴隷なんだろう。 命令には服従するんだろう。 足を舐めろ」 牛尾は谷原の髪の毛を掴み、床に押し付けた。 その時、Ｃ商大の高田が立ち上がった。 「よせよ」 「なんだ、Ｃ商大のくせに、なんか文句があるのか」 牛尾が言った。 「谷原君は奴隷なら、僕の命令も聞かなきゃいけないんだろう」 高田が言った。 「それはそうね」桜子が言った。 「なら谷原君、僕の命令だ。 絶対に牛尾君の足を舐めるな！」 「わおっ」益美と響子が言った。 パンツ一丁で、高田は男を上げた。 「うるせえ。 谷原、Ｃ商大の奴の命令を聞くのか！」 牛尾は切れ出した。 「牛尾君、谷原君と古谷君は私たち全員の奴隷だから。 どっちの命令を聞くべきか、多数決で決めましょう」 結果はあきらかだった。 全員が高田を支持した。 「なんだよ、お前ら、お高く止まりやがって。 俺は帰る」 牛尾は帰った。　 「なんかしらけちゃったね」益美が言った。 「もう帰ろうか」浪江が言った。 時刻は11時だった。 「そうね。 解散にしましょうか」 響子が言った。 「谷原君、古谷君、パンツ穿きなよ」 「なんかごめん」幹事だった古谷が頭を下げた。 古谷の小さいチンコはさらに縮こまっていた。 「ねえ、高田君、エスコートしてくれる？」 益江が言った。 「君もパンツ穿いたら、私をエスコートしなさいよ」 浪江が谷原に言った。 「私もここで帰るわ」 カラオケボックスを出たところで、響子が言った。 高田と益江、谷原と浪江は一足先に消えていた。 「じゃ、また」 響子は大通りでタクシーに乗った。 「私、古谷君のこと好きになっちゃった」 桜子が言った。 えーっ、古谷の小さなチンコ見て好きになるの！　 玲子は驚いたが。 しかも、桜子はさっき古谷のチンコをしごいて精子を出させたばかりだ。 男として一番情けないところを見せた男に、なんなんだこの告白は！ 古谷も目を白黒させている。 「でも、古谷君は私みたいな女は嫌いだよね」 桜子が言った。 「……」 古谷はなんて答えていいのかわからない様子だ。 桜子はかなりのいい女で、いや、普通か、それ以下の女でも古谷のチンコを見たら、誰も古谷は敬遠する。 古谷はいい奴だ。 人間として。 玲子も友達としてなら、こんないい奴はいないと思う。 でも彼氏は違う。 だが、桜子は古谷の答えを待ちながら視線を向けている。 「私……、消えようか」 玲子が言った。 「いて」 「えっ？」 「古谷君にふられたら、自棄酒付き合って」 つくづく桜子は変な女だ、と玲子は思った。 「もうわかってると思うけれど、私、Ｓ女なんだよね」 桜子が言った。 うん。まぁ、それはわかる。 玲子もＳかＭかと言われれば、Ｓなんだろうけれど。 普通にセックスもするし、男性にわざと辱めを与えたいとも思わない。 だが、Ｓ女と公言する桜子がどの程度のＳ女なのか、よくわからなかった。 「男の人をいたぶらないと」 「いたぶる？」 「ねえ、古谷君、一回だけ試してみない？」 「……」 「玲子さんも、よかったら一緒に来て」 思わぬ誘いに、玲子も驚いたが。 桜子という女には興味があった。 タクシーで１メーターくらいの場所だ。 マンションの地下。 店舗にしてもいいんだろうが、駅からは遠い。 コンクリート打ちっぱなしの部屋。 「私はＳなの」 桜子が言った。 「女王様ではない。 だから、男性を奴隷扱いはしないわ。 マゾヒストの男性と楽しくプレイが出来ればいい」 「ここは？」 「私、ＳＭクラブで女王様のバイトしているの、ここはＳＭクラブのプレイルームなの」 なるほど。壁に磔のオブジェがある。 「いま、女王様じゃないって」 「女王様はあくまでもバイト。 そうね、マゾヒストの男性と出会えればとも思ったけれど、なかなか難しいの」 桜子と玲子の会話を聞き、古谷はどきまぎしていた。 「古谷君、下の名前聞いてなかったね」 「俊之です」 古谷が応えた。 「じゃ、これからは俊之君って呼ぶね」 「俊之君？」 「だから、俊之君は奴隷じゃない。 プレイをしてみて、もしよかったら恋人になりましょう。 もし駄目でも、友達としては付き合って欲しい」 「ずいぶん、古谷君にご執心なのね」 玲子がちょっと皮肉っぽく言った。 「あなだって俊之君のこと、好きでしょう」 桜子が言った。 「彼はホントの漢よ。 あなただって、彼のチンコが人並みなら付き合いたいと思うでしょう」 ドキッ。 玲子は嫌な気分になった。 自分がチンコのでかさで人間を評価している女だと言われた気がした。 「漢の俊之君が。 私のために痛みに耐えるところを見たいのよ」 古谷は少し震えていた。 パンツ一丁になった古谷を天井から吊るした。 「いいわね、俊之君」 古谷はうなずいた。 ズボッ。 いきなり桜子の蹴りが、古谷の股間に飛んだ。 鞭の嵐が古谷俊之の体に浴びせせれた。 俊之は唇を噛んでただじっと耐えていた。 体が赤く染まる。 軽い内出血をしているのかもしれない。 玲子は途中から見ていられなくなった。 ここらが限界と思ったのか、桜子は鞭を止めた。 だが、それは責めの終わりではなかった。 桜子の手に蝋燭が握られていた。 赤い蝋燭を、桜子は俊之の鞭の傷に垂らした。 「ギヤー」 流石に俊之が悲鳴を上げた。 蝋燭を垂らす度に俊之の悲鳴が響き渡り、床には蝋と一緒に俊之の涙のしずくが流れ落ちた。 責めは30分ほど続いた。 そして、桜子は戒めを解いた。 床におろされた俊之は、そのまま床に跪いた。 「ごめんね」 桜子が言った。 「やっぱ、無理だよね」 うん。無理だよ。 ノーマルな俊之がこんな責めに耐えられるわけない。 以前に、今は響子の彼氏になっている浅香雄一郎を何人かの女子で責めたことがあった。鞭なんて、桜子と違い、音がでかくてたいして痛くない鞭だったけれど、だからかもしれないが、マゾの気がある雄一郎はチンコを勃起させて、カウパーをたらたら流して喜んでいた。 響子はサディストの気があるから、いいカップルになっているが。 やはり、俊之には無理だろう。 俊之は床に両手をつくと、桜子に頭を下げた。 「止めて」 桜子は俊之の前に座った。 「あなたは奴隷じゃないんだよ。土下座なんてしないで欲しい」 「奴隷じゃないけれど、俺は男だから」 俊之が言った。 男？　うん、そら、男だ。 小さくてもチンコがあるんだ。男だけれど。 男だから、なんだと言うんだ。 「男だから。告白は僕からしたいんだ」 俊之は言った。 告白？　告白って何だ？ 「桜子さん、僕と付き合ってください」 俊之はそう言って、桜子に頭を下げた。 奴隷のご挨拶じゃない。男らしい、告白の土下座なのね。 「いいの？　こんな女で」 「先のことはわからない。 でも、桜子さんを理解したい」 俊之は言った。 「立って」 桜子は俊之を立たせた。 そして、首につかまって、唇を合わせた。 あらら。俊之の小さなチンコが少しだけ大きくなっている。 うん、これ以上、私はここにいてはいけないわね。 玲子は思った。 玲子はそっと席を立った。 桜子は玲子に気付いた。 「ごめん。付き合わせて悪かった」 「お幸せに」 玲子は思わず言った。

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