Ｓ女子大秘話

作・たぬべえ

２

知らない番号から電話があった。 出たら。 「古谷です」 と名乗った。 「誰？」 「あのー、トイレで」 「はぁ？」 よくよく聞いてみたら、友達想いの包茎君だった。 古谷俊之というらしい。 あの時、キスしちゃったのがまずかったみたい。 古谷はあきらかに勘違いしている。 玲子の電話も、合コンの幹事に土下座して聞きだしたらしい。 ヤバイ、ヤバイ。 古谷は 「一度でいいからデートして欲しい」 と言う。 玲子が丁寧に断わると、 「俺、案外、友達多いんですよ、その……」 古谷は友達のチンコをデートの条件に言って来た。 「一本や二本じゃ駄目よ」 「何本ならいいですか」 「デート一回につき三本ね」 まさか無理だろうと思った。 そしたら、ＯＫだと言う。 翌週の土曜日、１時に駅で古谷と待ち合わせた。 古谷は男友達二人と一緒だった。 「スゲエ美人じゃん。 彼女がチンコ見てくれるの？」 友達は言った。 もう一人は、 「やっぱ恥ずかしいよ」 と言って渋った。 「ここまで来たんだ。 覚悟を決めてくれ」 古谷は言った。 「わかったよ。 仕方がない」 玲子は三人とカラオケに行き、チンコの写真を撮らせてもらった。 最初の男はＣＦＮＭ趣味の男なのか、そそり勃ったモノを自慢気に見せてきた。 「縮めてくれるかなぁ」 玲子が言ったが、なかなか小さくならなかった。 仕方なく、もう一人のチンコを先に撮った。 彼はあるかないかのチビチンコで、しかも恥ずかしさで縮こまっていた。 なんだかわかんないよ。 でも一本は一本。 最初の男はトイレで二回出して来た、と言い、ようやく普通のチンコ写真を撮った。 「お前には貸し、お前には借りを作ったな」 古谷は二人に言った。 チビチンコは、 「日頃、古谷さんにはお世話になっているから。 チンコくらいで借りだなんて思わないでください」 と言った。 「そうだよ。 チンコくらいで貸しだなんてオーバーな」 ＣＦＮＭ男は言った。 二人は帰って行った。 「あと一本は？」 「三時に来ます」 ふたたび駅に行くと、やって来たのはどこから見ても中学生の男子だった。 ｢弟です｣ 古谷は言った。 「どうしてもあと一人見付からなかったもので。 でもちゃんと毛も生えてます」 いくらなんでも中学生はまずいと玲子は思った。 「デートはなしね」 「そんな」 「わかったわよ。 じゃ、三人でお茶して帰ろう」 結局、玲子は、古谷と古谷の弟とフルーツパーラーに行った。 弟は四時になると、塾へ行くと帰って行った。 「私たちも帰りましょう」 玲子が言うと、古谷は涙目だった。 それは男として約束が守れなかったことへの口惜しさだった。 友達にはいつも親切にして来た。 だから、古谷は自分が頼めば、皆、チンコくらいは見せてくれると思っていた。 でも、結局はＣＦＮＭ男と、高校時代にいじめから守ってやったチビチンコしか来てはくれなかったのだ。 それが口惜しくて、古谷は泣き出した。 「わかったよ。私が悪かった」 玲子は謝った。 そら常識で考えて、どれだけ助けてもらったって、男は普通チンコは見られたくないモノだよな。 「君はよくやったよ。二人でもスゴイと思う。ありがとうね」 玲子は慰めた。 しかし、慰めの言葉だけでは足りなかった。 「何して欲しいの。 して欲しいこと、一つだけしてあげるよ」 玲子は言った。 「もう一度チンコを見て欲しいです」 古谷は言った。 それを思い出に、生きてゆく。 「見るだけでいいの？」 玲子は下を向いている古谷の顔をのぞき込んだ。 「出来れば……」 「出来れば？」 「ハイヒールでツンツンしてください」 古谷は顔を真赤にして言った。 うーん、包茎チンコをツンツンするのはためらわれたが、でもまぁ、それでこの先、古谷が頑張って生きてゆかれるなら。 「いいよ。君、ホントにいい奴なんだね」 玲子は古谷に微笑み掛けた。 明石玲子のチンコ画像収集は22本からなかなか進まなかった。 こら、1000本は無理か。 とりあえず100本までは頑張りたいが。急に弱気になってくる。

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