Ｓ女子大秘話
作・たぬべえ
１
明石玲子の出した結論。
男は、よほどの勘違い男以外は自分のチンコにコンプレックスを持っている。

男兄弟で育つ以外、早々自分のチンコと他の男のチンコを見比べる奴はいまい。
よしんば男兄弟でも、そのチンコはすべて父親譲りであるから、兄弟の大小の差が世間の平均値とどう違うかはわからないのである。

まれに男友達のチンコを見て、自分より小さければ安心し、デカければますますコンプレックスを増大させるものだ。

玲子はＳ女子大に通っている。
Ｓ女子大は美人も多く世間でも遊んでいる女子が多いとの評判である。

だから、玲子とセックスした男は必ず聞いてくる。
「俺、そんなに小さくないよな」

玲子は優しいから。
「うん。普通よりはちょっと大きいくらいだよ」
と答える。

それでその男が自信が持てるなら。
そのくらいの一言を言ってあげるのが、たとえ一晩でも愛し合った男への礼儀だと思っている。

だが時として、男の中には無礼な奴もいるのである。
一度セックスをしたくらいで、お前は俺のモノだというような態度をとる男である。

玲子はあくまでも淑女である。
だから、どんな無礼な男でも紳士として接する。
丁寧に、あなたとの交際はこれで終わりです、と告げるようにしている。

だがまれにいる。
そこで逆上したり、揚句はスーカーまがいのことをする男が。

で、そうならないように、玲子は保険を掛けることにした。
セックスの前に男のチンコの写真を撮らせてもらう。
そうすれば、別れ話を切り出しても何も言えなくなる。
また付き合うとしても、結構優位な立ち位置に立てるのである。

そして、そんなチンコの写真が10枚を越えたある日、玲子は思った。
チンコの写真を千枚コレクションしようと。
そして、1000枚目の男と結婚しよう。

だが、何も1000人の男とセックスをしようとは思わない。
セックスは愛が必要だ。
たとえ一夜の関係であっても、そこに愛が介在するから、セックスが出来るのである。

まぁ、なんだ。
私がお願いするなり命令するなりしたら、チンコを出す男はいるだろう。

まず、以前付き合っていたＧ大陸上部の大原健人を呼び出す。

「お願いがあるの」
「なんだよ、よりを戻すとか言うのか」
「健人が望むなら、それもいいかな」

「まじかよ。
お前がＸ大の男に乗り換えたんだろう。
俺が怒ったら、チンコの写真をネットに流すって脅すから、俺は泣く泣くお前を諦めたんだぜ」

「やっぱり、チンコの写真を他人に見られるのは嫌なんだ」
「当たり前だろう」

玲子は実は結構男らしい健人のことが好きだったんだ。
チンコだって、あなたが思ってるより立派なチンコだよ。
誰に見せたって恥ずかしいチンコじゃないのにね。

「で、お願いってなんだよ」
「今、健人は陸上部のキャプテンだよね」
「ああ」
「陸上部で一番偉いんだ」
「まぁな」
「で、お願いというのはね、陸上部の……、一年生でいいや。
一年生のチンコの写真を集めて欲しいんだ」

「はぁ、どうしたんだよ、玲子、大丈夫か。
頭、おかしくなっちゃったんじゃない？」
健人は呆れて帰って行った。

やっぱり駄目か。
Ｇ大陸上部の今年の一年は8人。
これで8本のチンコが手に入ると思ったのになぁ。
ここは地味に一本づついくしかないか。

合コンに行った。
酔いつぶれた男子がいた。
名前も知らない奴。

こいつでいいや。
男友達が介抱していた。

「大丈夫？」
トイレに付いて行き、冷たいおしぼりを介抱している男に渡した。

「サンキュー。
Ｓ女子大の女って、もっとお高くとまっているのかと思っていた」
「良妻賢母も多いのよ」

「あっ、戻っていいよ。
こいつは俺が介抱するから。
多分、吐くと思うから」
ドスン。
酔った男はバランスを崩しトイレの床に倒れた。

「やべえな。
ここで吐かれると」
「服、脱がしたほうがいいんじゃない」
「だよな。汚れるとまずい」

友達が上を脱がし始めたので、玲子はズボンを脱がせた。
「下はいいんじゃないか」
「下も脱がせたほうがいいよ。
ベルトでお腹締めてるから」
「そうだな」

友達が上半身を裸にした。
玲子はパンツを膝まで下げた。
「パンツまで脱がすことは……」

パシャリ。
「おい、何やってんだよ」
「ちょっと記念写真」
なんて言ったら怒られると思ったら、
「俺も撮ってもらっていい？」
男友達は酔った友達を放ってズボンを脱ぎ始めた。

パシャリ。
二本ゲット。
案外、早く1000本集まるかも。

「ねえ、俺って小さいほうかな？」
男友達が恐る恐る聞いた。
「大丈夫だよ。
普通より、ちょっと大きいくらいかな」

「そうか。
そう言ってもらうと自信つく。
ありがとうな」
積極的に見せたわりには小さいし、包茎だったが、やはり嘘も方便である。

チンコは駄目だが、友達想いで、ちょっと謙虚な彼のことが玲子は好きになった。
セックスしようと思わないが、男子トイレで彼と唇を合わせた。
「チンコの写真のお礼だよ」
床では酔いつぶれた全裸の男の鼾が聞こえていた。

家に帰ったら、健人からパソコンにメールが来ていた。
なんと８本のチンコ画像の添付があった。
えーっ、マジですか。

そして、健人のメールがあった。
「一年のチンコを見て、お前の言うことが嘘じゃないってわかった。
俺のチンコは案外立派なんだな。
これからも自信持って頑張る。
ありがとうな」

よし！　
ここれで早くも20本ゲットだ。

２⇒



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