なりゆき

作・たぬべえ

５

翌週のデートの時は、待ち合わせ場所の広場で、大勢の人たちのチラ見されながら、雄一郎は土下座をした。 「じゃ、行こうか」 響子は雄一郎をラブホテルに連れて行った。 いよいよか。 「ちょっと待っててね」 響子はバスルームに消えた。 シャワーなんかいいから。 早くはずしてくれ。 雄一郎は叫びたい思いだった。 だが、バスルームから出て来た響子を見て、雄一郎は唖然とした。 響子は下着姿で、なんと腰には模造ペニスを装着していた。 「なんなんだそれは！」 「雄君への御褒美だよ。 今日は楽しくいっぱい遊ぼうね」 いっぱい遊ぼうって。 それで何をして遊ぶというのだ。 「貞操帯をはずす前に、これにフェラチオして。 雄君が今まで女の子にさせて来たみたいね」 響子はそう言ってニッコリと笑った。 「案外マゾじゃなかったんだ」 響子は言った。 響子は雄一郎にペニスパンドへのフェラチオを強要した。 男が模造ペニスをしゃぶらされる、こんな屈辱はない。 響子はマゾの雄一郎がこのプレイに狂気するくらい喜ぶと思った。 しかし、雄一郎はフェラチオの途中でポロポロと泣き出してしまったのだ。 雄一郎は本気で響子のことが好きになっていた。 ちょいサドな響子に、翻弄されたり、土下座させられたり、時には鞭で叩かれるくらいのことはよかったのだ。 それはあくまでもプレイだったし、日常に置いても女性上位なカップルでよかった。 だが模造ペニスをしゃぶらされたのは、あまりにも屈辱が大き過ぎた。 その無様な格好を、大好きな響子に強要されている。 その情けなさで、雄一郎は本気で泣いた。 そして、響子が貞操帯をはずと、ギンギンのはずのチンコは小さく縮まっていたのだ。 「俺は響子さんにはふさわしくない男なんだ。 すまん。 もう駄目だ」 雄一郎は土下座をして詫びた。 「そんなことないよ。 一から頑張ろうよ。 ねっ」 響子はいつになく優しかった。 「私がちゃんと雄ちゃんをマゾ奴隷に調教してあげるから」 響子の口から思わぬ言葉がこぼれた。 えっ、やっぱりそっちなのか。 雄一郎の目からふたたび大粒の涙がこぼれ出した。

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