なりゆき

作・たぬべえ

３

翌日の昼だった。 なんと響子が雄一郎の部屋を訪ねて来た。 「まだ何か用があるんですか」 雄一郎は顔を引きつらせていた。 「昨日はごめんなさい」 だが、響子の口から出たのは意外な詫びの言葉だった。 どういうことだよ？ 響子はうっかり友達の明石玲子に雄一郎のパンティ泥棒の件を話してしまった。 そしたら、玲子が面白いから雄一郎をいたぶって遊ぼうと提案して、友達だから断われなくなってしまったという。 「私、そういう趣味もないしさ。 ホントに申し訳ない事をしたと思っている」 響子はそう言い、 「お詫びだからお昼ご馳走させて。 学生だからお金ないんだ。 回転寿司でよければだけど」 これは何かの罠に違いない。 雄一郎は思った。 だが、回転寿司というのが妙に現実的なワードで、しかも目の前の響子はカワイイかった。 あー、夕べ俺はこのカワイイ女子大生にチンコも見られ、みじめな姿を晒し、そして射精までしたんだと思うと、顔から火が出るような恥ずかしさでイッパイになった。 「ごめん。無理」 雄一郎は吐き出すように言った。 「だよね」 響子は寂し気につぶやいた。 「もう君の顔、まともに見られないよ。 君からは俺は変態男としか見えないと思うし」 響子はしばらく考えているみたいだが、やがて重い口を開いた。 「男なんて多少の差はあっても、皆、変態だと思うよ。 カワイイ女の子がいたらセックスしたいと思うし、パンティだって盗みたいと思うし、バンティ被ったら勃起だってするよ」 言い方が露骨だったので、雄一郎はますます恥ずかしさでいただまれなくなった。 「ごめん」 察したのか、響子は謝った。 「私、あなたのことが気になってたのよ」 響子は雄一郎とまだ口をきく前、隣人として時々見ていた時から気になる存在だったと言い、 「決定的だったのは、はじめて私の部屋を訪ねて来た時」 だと言う。 「黙っていれば、ばっくれられたよね。 それをあなたは堂々と謝りに来たじゃない。 ちょっとカッコイイと思った」 そうじゃない。いつ警察が来るか、雄一郎は不安でいたたまれなかったのだ。 だが、響子は、それをいさぎよくカッコイイと言った。 「なかなか出来るものじゃないよ。 女の子に、あなたのパンティ盗みました、なんていう告白は」 告白！　 告白という表現と、それに続くのはまたも響子の、あきらかに雄一郎の変態だと言わんばかりの表現だった。 「それにあの時の土下座も、うん、なかなか出来ることじゃないよ。 初対面の女の子に土下座なんて」 そら、そうだ。 「でもまぁ、鞭で打たれてオチンチン勃っちゃうくらいだから、あなた、ちょっとマゾなところもあるんだと思う。 女の子に土下座するのもあんまり抵抗ないとか。 慣れてるとか」 そこまで言われ、もう雄一郎も腹を決めた。 「もう勘弁してくれ。一緒に回転寿司に行くから」 「あっ、回転寿司より焼肉がいい？　 だって昨日五回も射精したから、体力つけなきゃ」

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