このラストシーンは４６秒。階段で二階に上がった二人が、渡り廊下（F）を通って、寝室（G）に消えるまでを、一気に撮影しています。
屋外からガラス越しに撮影しているため、二人の戯れを覗き見しているような趣があります。このシーンも、前のシーン同様、夜間に撮影したからこそ、覗き見の趣向が、よい雰囲気に仕上がっています。
画像を見ると、カメラマンは、二人を見上げるでもなく、見下ろすでもない位置から撮影していることがわかります。つまり、カメラは、建物の二階でお馬さんごっこに興じる二人と同じ高さにあるわけです。
しかも、二人の動きに合わせて、カメラも滑らかに移動していきます。
ということは、二階と同じ高さに櫓（やぐら）を組み、その櫓の上で、三脚に据えたカメラを台車に載せ、だれかがその台車を二人の動きに合わせて動かしつつ、カメラマンが撮影したに相違ありますまい。
いやはや。「お馬さんごっこポルノ」を製作するビデオ・プロダクションには中々マネのできない、大掛かりな撮影であります。
ところで、このシーンの渡り廊下の様子は、よく見ると、真ん中に設（しつら）えられた階段の手すりの感じといい、置かれてある赤いソファーといい、シーン（２）の渡り廊下にソックリ。おそらく、同じ場所を使い廻ししたのでしょう。いかに予算の多い劇場用映画とは言え、やはりケチるところはしっかりケチっているようです。
渡り廊下を渡り終えて、寝室に辿りついた二人。
騎乗のミミが、スイッチを押すような仕草で壁に手を触れたのをきっかけに、画面は暗くなり、本当のジ･エンド。
中々しゃれた終わり方ですね。
さて、ここでラスト･シークエンス全体を振り返ってみると、
「自宅で結婚披露宴を終えたばかりの新婦が、早速新郎を馬にして跨り、屋敷中を練り歩いて、ベッドルームにたどり着き、初夜を迎えましたとさ」
というお話になっているわけですね。
【感想】
ＳＭっていうと、主従関係がどうのとかいう話になりがちです。そんな関係ももちろん素敵ですが、この映画のように、難しく考えないで、お気楽にお馬さんごっこを楽しむっていうのもヨイですね。昼間は仲のよい夫婦。夜の生活も普通に営むけど、その前にチョットお馬さんごっこ。ひとつの理想ではございます
|
|
|
