奇譚クラブ
1957年11月号
「沼正三だより」(沼正三)


「沼正三だより」は、同人誌的色彩のあった奇譚クラブ誌上に、沼が他の執筆者にあてて時々載せたもの
120-121ページ


121ページ、黄枠部分拡大
これを読めば、沼正三と天野氏が異なる人物であることは、あまりにも歴然としているではないか。

もしも天野哲夫氏が沼正三と同一人物であるとしたら、彼は、
  ・自分で自分を「鋭敏な感性と豊富な文藻に恵まれた」と褒め
  ・自分で自分の「登場」を喜び、
  ・「マゾヒズムの傾向において非常に似ている」と、自分で自分に共感し、
  ・「自分(沼)は自分(天野)の書いた文章に関する所感を、これこれの箇所で取り上げたよ」と、自分で自分に注意を 促したあげく、
  ・「自分(沼)は、自分(天野)の文章に影響されて、これこれの文を書いた」と告白
したことになる。

「沼=天野同一人物説」を主張する人たちは、これをしも「天野氏の韜晦趣味」と言い張るのだろうか?  しかし、それなら、天野氏が、そんな手の込んだことをしてまで、「奇ク」読者に「沼と天野は別人なんだ」と思わせたかった理由を教えていただきたいものである。


なお、当時(1957年)は、『家畜人ヤプー』が世に知られる以前の時代である。従って
「今や令名高き“沼正三”の陰の代理人という卑下意識に憬れて、本当は沼正三本人なのに、彼の代理人と称した」
といった主張は、説得力零である








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