Human Dogs

東洋犬 / My Favorite Oriental Dog
Nov.1,2016


東洋人は、概して表情に乏しいでしょ。
特に、私たちに対しては、
気後れして
中々打ち解けようとしないし。
何を考えているのか、
よくわからない。

気後れするってことは、
心の奥深くに
私たちを畏れ敬う気持ちを宿している証拠なんだけど、
それを認めたくないばかりに、
強情を張ったりもする。

でも、もともと、東洋人には
厳しい上下関係に順応し、
上位と認めた者の命令には
無条件に従う性質があるのね。

そんな、東洋人ならではの服従本能と、
私たちに対する潜在的な畏敬の気持ちを
うまく導き出してやれば、
忠実無比の、優秀な人狗に仕込むことができるってわけ。

この子の場合、初めて会った時、
ちょっとした粗相をしでかしたから
頬を一発、平手で打ったの。

初対面の女に打（ぶ）たれたものだから、
怒って席を立ったけど、
二〜三日したら
向こうから謝ってきた。

その時、意外に素質のある子だなって思い、
手元に置いて、立派な人狗に育ててやろうと思ったんだ。
精悍な顔立ちも気に入っていたし。

後で聞いたら、
いきなり叩かれて腹が立ったけど、
しばらくしたら、
その瞬間がなんだか懐かしいような、
私にまた同じことをされてみたいような、
奇妙な気分になったそうよ。

そして、私に会いたい気持ちがどんどん募って
もう、どうにも抑えられなくなったんだって。
私の、人狗の素質を見抜く目に、狂いはなかったわけだ。

それから、
段々に手懐けて、
被虐馴致のレベルを上げていき
私のどんな命令にも無条件に服従する
忠犬に仕立て上げていった。

私たちへの崇拝心理に火をつけ、煽りたてて、
この私にご奉公するのが、
どんなに立派で幸せなことか、
そして、私を怒らせたりがっかりさせたりするのが
どんなにいけないことで、
私に見捨てられるのが
どんなに恐ろしいことか
骨身にしみるまで、徹底的に仕込んだのよ。

今では、この子の考えていることは全部わかる。
だって、頭の中にあるのは、私のことだけだから。
私が何を望んでいるか、何をさせたがっているか
言葉で命じられなくても、察することができるよう、
いつも私の顔色を窺い
私のためなら命だって惜しまない。

私が命じたら他の女性にもサービスするけど
他の女に心の尻尾を振ったりは決してしない。

忠実で勇敢でたまらなく可愛い
私の東洋犬。



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